責任ある消費生産と社会貢献活動について
2024/4/9
第二期「社会貢献活動」、最後のコラムとなります。
SDGsの目標12「持続可能な消費と生産」と社会貢献活動について、この一年間多くの学びの機会があり、是非お読みいただければと幸いです。
SDGsと持続可能な生産消費
誰しも百も承知ですが、私たちの地球は限られた資源しか持っていません。そのため、「持続可能な消費と生産」が求められています。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の中で、「目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する」という目標が設定されていますが、その核心には資源の効率的な利用と環境負荷の低減を通じた商品やサービスの生産、そして環境に優しい商品やサービスを選択し利用する、という考え方があります。
[ 参考文献 ]
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン:「目標12 持続可能な生産消費形態を確保する」
国連広報センター:「目標 12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する」
消費と生産の変化
ここ10年間で、生産者と消費者の意識は大きく変わりました。生産面では、サステナビリティや環境配慮がより重要視されるようになり、生産過程でのエネルギー効率の向上や持続可能な資源の利用が促進されています。一方、消費面でも、消費者の意識が変化し、エコフレンドリーな製品やサービスへの関心が高まり、サステナブルな消費選択という価値観が登場しています。
そして2030年頃にも消費および生産においても、意識や価値観もそうですし、当然経済面でも大きく変容していると予想しています。
視点 | 2010年頃 | 2020年頃 | 2030年頃(予想) |
---|---|---|---|
生産 | 大量生産、効率性、コスト削減が重視される傾向があり、環境への配慮はあるものの、経済性を優先。 | サステナビリティや環境配慮がより重要視されるようになり、生産過程でのエネルギー効率の向上や持続可能な資源の利用が促進。 | 循環型社会への移行がさらに進み、環境負荷の低減が生産においても基本的な考えになると予想。 |
消費 | 価格やブランドに大きく影響されており、持続可能性よりも個人の利便性や好みを優先。 | 消費者の意識が変化し、エコフレンドリーな製品やサービスへの関心が向上。サステナブルな消費選択という価値観が登場。 | 持続可能性が消費の新標準となって、消費者は製品の生産背景や環境への影響への意識が根付いていると予想。 |
リサイクルへの意識 | 一般的な認知はあったが、実行するのは比較的少数派。 | リサイクルへの意識が高まり、多くの地域で分別収集やリサイクル施策が強化。 | リサイクルが日常生活の一部となり、技術やエコシステムが普及すると予想。 |
環境への意識 | 環境への意識はあるものの、経済成長優先の考え方が主流。 | 地球温暖化やプラスチック汚染などの問題が注目され、環境への意識が大幅に向上。 | 環境への意識が根付き、個人/企業企業/政府と社会全体で持続可能な取り組みが基本となると予想。 |
人の価値観 | モノの豊かさや経済的豊かさを重視するため、古いものは捨てるのが当たり前。 | ライフスタイルの多様化やワークライフバランスの重視されるようになった。サステナビリティへの関心も増加。 | 地球と共生する価値観が一般化し、社会全体で環境との調和を重視する文化が根付くと予想。 |
常識 | 経済の成長や発展が主な指標。 | 自然環境を守りながら経済成長を図るという考え方が一般的になった。 | 持続可能性が社会の基本で常識となっていると予想。 |
「持続可能な消費と生産」、どうやって実現するのか?
「持続可能な消費と生産」が社会に実装されるには時間がかかります。
再生可能エネルギー、EVなどを例に挙げても各国政府・リージョン・スタートアップ企業・大企業・投資家等かなり力を入れていますが、まだまだ社会実装には道半ばが現状かと思います。
お伝えしたい事は、広く浸透するには時間がかかるという事、そしてその為には超えなければならない溝があるのです。
そのため政府・民間企業・非営利団体・消費者などがパートナーシップを構築し、連続性のあるハードワークが大事と言われています。
しかし、この難題を目の前にすると「何故やるの?」「どのように実現するの?」そして「自分たちがやること?」「自分には関係がない」といった疑問を持つ方が大半というのが現状なのかなと思います。
この現状を出発点に解決策を考えても現状の課題解決になってしまい、実現したい状態とは程遠い結果を招く恐れが非常にありますので、「『持続可能な消費と生産』を実現させる」と設定し「それってどんな社会?」「その社会を実現するには自分たちで出来る事って何だろう?」といった考え方をすると目指す状態をベースに課題設定や戦略策定が進むので、ずれる事なく前に進むと思っています。
そしてこの難しい課題に対して、社会貢献活動は重要な役割を果たせると考えています。
「持続可能な消費と生産」の実現に社会貢献活動が重要な理由
企業が取り組む社会貢献活動であれば自社の価値観をステークホルダーに示し、「持続可能な消費と生産」を推進するための基盤を形成し、社会全体が環境に配慮した選択を行うようになるための一歩となると考えています。
さらに「持続可能な消費と生産」のための具体的な取り組みを推進するための手段でもあり、例えば環境に配慮した製品・サービスの提供、リサイクル推進、エコラベリング、持続可能なライフスタイルの啓発、環境教育、地域との協働、イノベーションの推進など、直接的な行動に繋がる取り組みを通じて「持続可能な消費と生産」を広く社会に普及させる可能性はたくさんあります。
そして企業と顧客が信頼関係を築けば「『持続可能な消費と生産』の実現」を後押し出来ますし、信頼関係があると顧客には自社の持続可能な取り組みを評価して貰えますし、その結果として持続可能な商品やサービスを選択する可能性が高まりと考えています。
最後に
いかがだったでしょうか?
幸いにも私は、今回一年間、社会貢献活動や未来志向から考える時間を通じて多くの知見を得たり、考える時間をたくさん作り、さらにたくさんの現実を実体験する事が出来ました。
経済的・社会的な発展を維持した上での「持続可能な消費と生産」が目標ですが、私個人の考え通りに事が運ぶとは当然思えません。
現状当社もまだ道半ばですが、環境意識を社内外に浸透させパートナーの皆様と共創しながら「持続可能な消費と生産」を経済的合理性に組み込む事を模索しながら難題に挑む所存でございます。
社会貢献活動は、次のプロジェクトメンバーにバトンを渡しますが、私個人としても引き続き感度高く、社会貢献を通じた「持続可能な消費と生産」について引き続き考え、多くの共創や対話を通じて直接的な行動に繋げて行きます。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
[ 執筆 ]
(株) ディエスロジコ 北條 政治(分科会「社会貢献活動」第二期リーダー)