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2025.2.5
パリ協定

パリ協定離脱をアメリカ・トランプ大統領が明言した理由

パリ協定離脱!アメリカ・トランプ大統領の真の理由とは?

地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定。
トランプ大統領の就任後、アメリカは一度パリ協定から脱退しました。

その後、バイデン大統領によって復帰したものの、2025年、再びトランプ大統領が脱退を表明しました。

正式には、2026年1月27日にパリ協定を離脱すると言われています。
トランプ大統領はなぜパリ協定から脱退するのでしょうか?

パリ協定離脱をアメリカ・トランプ大統領が明言した理由を深掘りします。

【2015年】パリ協定採択

パリ協定とは?アメリカとの関わり

パリ協定とは、2015年にフランスのパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された、気候変動問題に関する国際的な枠組みです。
地球全体の気温上昇を産業革命前と比較して2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることを目標に掲げています。

より具体的には、

  • 各国が自主的に温室効果ガス排出削減目標を設定・提出し、5年ごとに目標を見直すこと
  • 途上国への資金援助を先進国が行うこと
  • 森林などの吸収源の保全
  • 温暖化の影響への適応

などが盛り込まれています。

【2016年】アメリカがパリ協定加入

オバマ大統領 パリ協定

アメリカは、2015年12月にパリ協定の締結を宣言し、2016年9月3日に加盟しました。
当時、オバマ大統領でした。

オバマ大統領は、気候変動問題に積極的に取り組み、パリ協定への署名式では、「地球を救うための歴史的な一歩だ」と述べています。

アメリカは、世界第2位の温室効果ガス排出国であり、パリ協定の目標達成にはアメリカの協力が不可欠です。
オバマ大統領はクリーンパワープランなどの政策を推進し、積極的に温暖化対策に取り組んでいました。

【2020年】トランプ大統領、一度目のパリ協定脱退

2017年6月1日、アメリカ・トランプ大統領はパリ協定からの脱退を表明しました。

その主な理由は、
アメリカ経済への悪影響: パリ協定の排出削減目標を達成するためには、石炭火力発電所などの閉鎖や、再生可能エネルギーへの転換が必要となり、雇用が失われると主張しました。
特に、石炭産業の衰退は、トランプ大統領の支持基盤であるラストベルト地域の経済に打撃を与えると懸念されました。

不公平な負担: トランプ大統領は、パリ協定では中国やインドなどの新興国に有利な条件が設定されており、アメリカだけが不当に重い負担を強いられると主張しました。

地球温暖化懐疑論: トランプ大統領は、地球温暖化は人為的なものではなく、自然現象であるという立場をとっています。そのため、パリ協定のような国際的な枠組みは必要ないと考えていました。

これらの理由から、トランプ大統領はパリ協定からの脱退を決定し、2020年11月4日に正式に脱退しました。

【2021年】バイデン大統領、パリ協定に復帰

バイデン大統領、パリ協定に復帰

2021年1月20日、バイデン大統領は就任初日にパリ協定への復帰を表明、2月19日に正式に復帰しました。

バイデン大統領は、地球温暖化を「人類の存亡に関わる脅威」と捉え、パリ協定への復帰はアメリカのリーダーシップを取り戻すためにも重要だと考えていました。
クリーンエネルギーへの投資: 再生可能エネルギーの導入促進や、電気自動車の普及など、クリーンエネルギーへの投資を拡大しました。

排出削減目標の強化: 2030年までに温室効果ガス排出量を2005年比で50-52%削減するという、野心的な目標を掲げました。

国際協調: 気候変動問題に関する主要経済国フォーラム(MEF)の開催など、国際協調を重視した取り組みを進めました。
これらの政策を通じて、バイデン政権は温暖化対策を積極的に推進しました。

【2025年】トランプ大統領、2度目のパリ協定脱退を表明

2024年の大統領選でトランプ氏が再選を果たし、就任初日の1月20日にパリ協定から離脱する大統領令に署名しました。

トランプ大統領は、前回の脱退理由と同様に、パリ協定がアメリカ経済に悪影響を与え、不公平な負担を強いると主張しています。
また、バイデン政権の温暖化対策によって、エネルギー価格が高騰し、インフレが加速したと批判しています。

アメリカがパリ協定から離脱するのは来年の1月27日になるということです

パリ協定離脱!アメリカ・トランプ大統領の真の理由とは?

アメリカ・トランプ大統領が再びパリ協定から脱退する理由は、前回の脱退理由と大きく変わりません。

経済優先: トランプ大統領は、「アメリカ第一主義」を掲げ、国内経済の活性化を最優先課題としています。

パリ協定の排出削減目標は、アメリカの経済成長を阻害すると考えており、脱退によって経済活動を活発化させたい狙いがあります。

エネルギー政策: トランプ大統領は、シェールガスや石油などの化石燃料の開発を推進し、エネルギーの自給自足を目指しています。パリ協定は、このエネルギー政策と相容れないと判断したと考えられます。

支持基盤へのアピール: トランプ大統領の支持基盤には、温暖化対策に懐疑的な層や、化石燃料産業に従事する労働者が多いです。

パリ協定からの脱退は、これらの支持基盤に対するアピールになると考えられます。
トランプ大統領が宣言したパリ協定離脱は、地球温暖化対策の進展を遅らせ、気候変動による被害を拡大させる可能性があります。

また、アメリカの離脱は、他の国々の温暖化対策への意欲を削ぎ、国際協調を阻害する可能性も懸念されます。
パリ協定は、地球温暖化対策のための重要な枠組みであり、アメリカの参加が不可欠です。

しかし、トランプ大統領の再選により、アメリカのパリ協定離脱は現実のものとなりつつあります。
今後のアメリカの動向に、世界中が注目しています。

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